障害者福祉サービスの新報酬、障害別の分類廃止

障害者自立支援法施行に合わせ、障害分類をなくし
報酬を共通にするそうです。
障害者自立支援法 自体が障害者の自立にはなりそうもない というのは、
今回は置いといて。
障害の分類は、区別として必要なのでは ないかと思います。
それと同じように 必要な支援も程度も異なる ので、
報酬体系の違いは あってよい と思うのですが。
今回の共通にするというのは、障害者は障害者で一くくりにして、
介護保険と統一するタメの 一つなのでしょうか。
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http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060301it03.htm
厚生労働省は1日、4月施行の障害者自立支援法に基づく福祉サービスの
報酬体系を公表した。
在宅と施設に分かれている現行の仕組みを、「訪問」「居住」「日中活動」
などに再編。身体、知的、精神という障害の種類による分類も廃止し、サー
ビスの具体的な内容に基づく共通の報酬とした。
訪問サービスでは、身体介護が1・5時間で5800円、家事援助は22
50円。これとは別に、重度障害者でヘルパーが長時間、自宅に滞在して介
護する場合の報酬を定めた。
例えば、1日8時間利用の場合、障害の程度により1万2400~1万4
260円に。30日間、毎日8時間ずつ利用すれば37万2000~42万
7800円となり、原則としてこの1割が、新制度で新たに徴収される利用
者の負担となる。
居住サービスでは、共同で生活する「グループホーム」が、職員態勢によ
り1日1160~1710円に。日中活動サービスでは、企業などへ就職す
るための訓練を行う「就労移行支援」が、定員などにより1日4030~7
360円。就職に成功した人が一定数以上いる場合、1日260円の加算を
行うなど、成果主義を導入した。
新しい報酬は、9月までの経過期間を経て、10月から全面的に適用され
る。
2006/03/01 20:44
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障害者自立支援法が平成18年4月にスタート!
障害のある人たちが地域で安心して暮らせるために
これまで身体障害、知的障害、精神障害といった障害種別に、異なる法律に基づいて提供されてきた障害福祉サービス。また、利用者の増加でサービス水準の地域格差や財政上の課題なども生じてきました。このような制度上の課題を解決するとともに、障害のある人々が利用できるサービスを充実するために、「障害者自立支援法」が制定されました。新しい施設・事業への移行は段階的に平成18年10月から進められますが、新しい利用者負担の仕組み(原則1割の定率負担と所得に応じた月額負担上限額の設定)などは4月から施行されます。

欠格条項と障害者 / 聴覚障害を持つ医療従事者 患者安心、手話で意思疎通

http://osaka.yomiuri.co.jp/possibility/news/ps60226c.htm

◆資格の制限是正/周囲の理解と支援必要

耳の聞こえない人や目の見えない人は医師や薬剤師、看護師などになれないとした「欠格条項」が2001年に見直され、障害者が医療の仕事へ進む道が開かれた。実際には以前から、聞こえの困難を抱えつつ、現場で働いている人たちもいる。「聴覚障害をもつ医療従事者の会」は、実情と課題を本にまとめ、今年1月に出版した。聴覚障害者が医療スタッフとして参加する意義は何なのか。働きやすい環境作りには何が必要だろうか。

(古川恭一)

障害を持つメリット

 

精神科を中心に診療する藤田保さん(右)。薬剤師と手話でやりとりする(大津市の琵琶湖病院で)

会の代表の医師、藤田保さん(57)は、大学病院で精神神経科の研修医になった後、両側の聴神経腫瘍(しゅよう)のため、29歳で聴力を失った。「臨床はあきらめ、病理に転身しては」と勧められたが、患者と接する仕事がしたいと考えた。

理解の得られた大津市の琵琶湖病院に勤め、1993年から「聴覚障害者外来」を開いている。健聴者と同様に適切な医療を受けられるようにするためだ。年間に延べ約600~700人の患者が訪れ、遠方から通う人もいる。

中度以上の難聴者は、障害認定を受けていない人を含めると、国内に約600万人と言われる。意思疎通の手段は補聴器、筆談、手話、口の動きを読むなど、人によって違い、対応できる医療機関が見つからずに困ることは多い。

藤田さんは必要に応じ、手話も使って診察する。「精神科では特に面接が重要で、意思が伝わりやすいメリットは大きい」という。手話のできる看護師や薬剤師らも数人いて、診療は円滑に進む。

立場に気づく

藤田さんは障害を持ってから、医療に対する意識が変わったという。かつて脳脊(せき)髄(ずい)膜炎から救命できたものの、聴力を失った患者がいた。「私も先輩も『命が助かったのだから、聞こえないぐらい』と満足していたが、自分が聞こえなくなってみると、対応が不十分だったと感じた」という。

生後まもなく熱病に冒され、聴覚をなくした稲淳子さんは、02年に精神保健福祉士に合格。障害者地域生活支援センターで働きながら月1回、聴覚障害者が様々な精神面の悩みを語り合う自助グループを大阪市内で開いている。

「聞こえないと情報不足になるうえ、他者とコミュニケーションが取りにくいことで『自分は価値がない』と思ったり、人を信用できなくなったりして精神的に苦しむ人は多い。手話が通じるだけで、とても安定することもある」

先天性の高度難聴で看護師資格を持つ山口美華さん(40)は、東京でケアマネジャーの仕事をしている。「利用者の方とは意外にスムーズ。聞こえにくい分、ちょっとした表情や目の動きで気持ちを察することができるからだと思う」と説明。「医療従事者は聴覚障害者にあまり理解がなく、理解があっても人手不足。職場に障害者がいることで、病気や障害ではなく、まず“人”として接することに気づく機会になるのでは」と感じている。

現場での苦労

◆「聴覚障害をもつ医療従事者の会」の会員構成
(昨年9月時点、計32人)
医師
獣医師
薬剤師 11
看護師 10
臨床検査技師
精神保健福祉士
診療放射線技師
言語聴覚士
介護福祉士

もちろん、聞こえにくいことに伴う苦労は多い。「マスクで口の動きが読みとれない」「ナースコールや医療機器のアラームがわからない」「電話に応対できない」

なかでもスタッフ同士の意思伝達が大きなテーマで、職場の理解が足りないと、人間関係に疲れてしまうことが多い。

山口さんは、そうした困難もあり、以前に2回、勤めていた病院を退職した。「『さっき言ったじゃない』などと言われることも多かった。今でも看護の仕事に戻りたいと考えているのですが……」

欠格条項の見直しの際、国会は付帯決議で「個人支援技術の開発普及を急ぎ、できうる限りの補助手段を用いる」よう、要請した。

視覚や振動で表示できる医療機器や透明なマスクなども登場している。医学情報はインターネットの普及で得やすくなったが、口頭で討論が行われる学会などの運営にも工夫を求める声は強い。

学ぶ場での支援

医療の専門職になるには、専門教育が必要だが、障害への配慮は、まだ乏しい。「友人のノートを写す」「録音し、家族に書き起こしてもらう」といった苦心をして学んだ人が多い。欠格条項があったため障害を明かせず、友人から「無視した」と誤解された人もいる。

手話通訳やノート筆記者の確保、マイクの音を直接伝えるFM補聴器といった支援の充実が求められる。

藤田さんは「本人の努力に加え、周囲の理解とサポートが必要。知識だけでなく、人とつきあう能力を磨き、援助を引き出せるようにしてほしい」と後進にアドバイスする。

聴覚障害をもつ医療従事者の会 FAX0765・52・3423 http://chousyouiryou.hp.infoseek.co.jp/index.htm
障害者欠格条項をなくす会 03・5282・3137、FAX03・5282・0017 http://www.dpi-japan.org/friend/restrict/
聴覚障害者のためのメンタルサポート・セルフヘルプグループ(稲さん。FAX06・6339・0338、jun11@boreas.dti.ne.jp)

【障害者欠格条項】 身体や精神などに障害を持つ人の社会的活動を制限する法律や規則のこと。差別撤廃を求める障害者の運動で国は99年から63の免許や資格について見直しを進めた。医療職の場合、かつては「目が見えない者、耳が聞こえない者、口がきけない者には免許を与えない」という“絶対的欠格条項”だったが、01年6月の法改正で「心身の障害により業務を適正に行うことができない者には、免許を与えないことがある」といった相対的な規定になった。

(2006年02月27日  読売新聞)